うつむいても全然みっしー

好きな言葉は 守破離、苦手な言葉は ドンマイ

2020年夏の日記から 

虫と私はいつから別物になってしまったんだろう?

 この間品川図書館へ行った帰り、あまりに暑いので新馬場駅から青物横丁駅まで、一駅だけど電車に乗った。その車内にコガネムシがいた。今年は本当に頻繁に見かける。生きているコガネムシも、死骸も。車両の窓の桟にとまってジジッ‼︎と羽を鳴らしているコガネムシを見ても、またか、と思った。

 

 座席の真ん中、窓の桟にとまるコガネムシを中心にして、私を含む数人の乗客はなるべくそいつから距離をとった。ジ‼︎という度にビクつく。たった一駅なのに長い。

 高校生くらいの少年がコガネムシに近づいて、片方の手の指と、もう片方の手のひらでやさしく包んだ。青物横丁駅で停車した一瞬のすきにパッと手を開いて外へ放してやり、またスッと座っていた席へ戻った。降車しながらホームでその様子を見届け、最後は音の立たない拍手をしていた私。虫との距離がない、彼。そういえば私は蝉も触ったことがない。